✦フォーカシング・コミュニティに継続して参加すると…

今月初めに開催したフォーカシング・ベーシック2コースで、参加者さんからフォーカシング・コミュニティ*に継続して参加することには、どんな効果がありますか?との質問をいただきました。

*:フォーカシング(とそのリスニング)を学んだ人が定期的に集まり、フォーカシング・セッションを行う会。ジェンドリンの著書『フォーカシング』(村山・都留・村瀬訳、1982、福村出版)ではチェンジズ Changes 。私たちはフォーカシング・コミュニティと呼んでます。

参考)日笠摩子著「付録A コミュニティ・グループでフォーカシングする際の諸注意」、近田輝行・日笠摩子編著『楽しく、やさしい、カウンセリングトレーニング フォーカシング ワークブック』2005、日本・精神技術研究所、pp.190-193

フォーカシング・コミュニティに継続参加することでどのような効果があるかについて書かれた文献として、私が思いついたのは以下のものです。

日笠摩子・近田輝行・片山睦枝「フォーカシング入門ワークショップの実際と参加者にとっての効果」『心理臨床学研究 第21巻 第2号』2003年、pp.158-166

この学会誌の閲覧は、趣旨や守秘義務の観点から大学等の教育・研究機関の研究室やそれに付随する図書館等またはそれに準ずる機関に限られています。
参考)学会誌の公開について|一般社団法人 日本心理臨床学会

そこで、フォーカシング・コミュニティへの継続参加に関する部分に限って、紹介したいと思います。

民間心理臨床センター主催のフォーカシング入門ワークショップ(通い3日間、我々のフォーカシング・ベーシック1コースの前身)に参加した25人に行ったアンケート結果を元に、フォーカシング・コミュニティへの継続参加の効果が、次のようにまとめられています。

  • 仲間が得られる
  • 自分と向き合う場が得られる
  • 安心感が得られる
  • ちょっと休んで振り返ったり、疲れを癒したり、方向を考えたりする、生活の中の「ベンチ」

また、カウンセリングとフォーカシング(学びとコミュニティ継続参加)を併行することが相補的に働き対人緊張が和らいでいった例が紹介されています。

研究全体からの考察では、次のように述べられています。

ワークショップで学んだフォーカシング(とリスニング)を練習する場としてフォーカシング・コミュニティは機能します。
それは、ワークショップで学んだフォーカシングで大切にする態度(フォーカシング的態度)が日常に根ざしてくための橋渡しとなります。
また、フォーカシング・コミュニティでリスナー(フォーカシングする人の相手となる聴き手)として貢献することでエンパワメント(自分は無力で一方的に助けが必要な人でなく、自分には力があることの自覚)が起きます。

当該文献からの紹介は以上です。
(他の文献をご存知の方がおられたら、どうぞぜひお問い合わせフォームからご連絡ください)

✦フォーカシング自体の効果については、こちらのコラムで紹介しています。

フォーカシングはどんなふうに役に立つ?その効能・効果・効用

文責:堀尾