フォーカシングはどんなふうに役に立つ?その効能・効果・効用

機会があり、フォーカシングを実践することで得られる効能・効果・効用について紹介することを試みたので、コラムにも掲載します。

一般に

フォーカシングは次のようなことに役に立ちます。

  • 自己理解、心の整理
  • 堂々巡りや行き詰まりの解消、意思決定
  • 自分自身をとり戻す
  • リラクセーション
  • 感受性、創造性の向上
  • 共感的聴き方が身につく
  • 自責への対処、〜すべきへの対処
  • 「自分」とつながる
  • 私は私でいていい
  • 自分をあてに出来る
  • からだやプロセスへの信頼
  • 自分を育てる

例えば、次のような研究があります。

Hikasa, M., 2012, THE BENEFITS OF FOCUSING: A Qualitative Analysis of Thirty Interviews with Focusers.

=DeepLを用いた題名と要約の日本語訳=
フォーカシングの効用: フォーカサーへの30回のインタビューの質的分析

要約
 フォーカシングは、多くの研究分野や努力に貢献しています。それは新しい形のカウンセリングや心理療法を生み出し、自己啓発の一形態として広く実践されている。しかし、私たちフォーカサーが経験する恩恵は複雑で、絡み合っていて、リストアップするのが難しい。新しい聴衆にフォーカシングを紹介するフォーカシング教師は、フォーカシングの実践の目的と効果をもっと明確に説明できれば、より簡単な仕事ができるようになるだろう。そのため、私は 2008年に調査とインタビューのプログラムを開始した。目的は、30 人の国際的なフォーカサーに、フォーカシングから個人的にどんな利益を得ているか尋ねることであった。私は次のことを発見した。
・インタビューに答えてくれた人たちが挙げた恩恵は、3つのメタカテゴリーに整理することができる。1) フォーカシングの経験そのもの。2) セラピーや仕事上のパートナーなどにもたらされる恩恵。3) 実践する心理療法家にとっての利点。
・最初のカテゴリー、つまりフォーカシングの体験そのものにあるすべての恩恵は、次のように分類できる。フェルトシフト、ヒーリング、自己理解、真正性、前進、人間関係の改善、創造性など。(これらの効果の正確な性質については、後ほど詳しく説明する)。
・挙げた恩恵は、フォーカサーがどのくらい長く実践してきたかによって異なっていた。より経験豊かなフォーカサーは、初心者に比べて、より肯定的でより基本的な恩恵を挙げた。後者は、差し迫った困難や痛みからの解放を強調する傾向があった。
 私が学んだこと、そしてこの論文で分かち合うことが、フォーカシングの恩恵をより明確に概念化し、 新しい聴衆にフォーカシングを紹介することを促進する助けになればと願っている。
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フォーカシングの効用の図/日笠摩子、2012

上西裕之、2011、日常生活におけるフォーカシングに関する数量的研究

博士論文なので膨大で網羅的です。

カウンセリング・心理療法では

◆ カウンセラー・セラピスト自身にとって

  • クライアントの話を聴いていて生じてくる感じを掴む
  • 自己理解、セルフケア、クライアントさんの理解
  • 共感的傾聴トレーニング

◆ クライアントさんに対して

  • クライアントさんのフォーカシング・プロセスを促す
  • 体験的ステップを他の技法に活かす 例)課題の設定
  • 様々なフォーカシングのやり方を用いる、他の何かと組み合わせる 例)アート
  • 心理教育としてフォーカシングを教える


ボディワークでは

ボディーワーカーさんにとってフォーカシングがもたらす恩恵については、例えば下記が参考になるかと思われます。

FOCUSING AND TOUCH (ポッドキャスト)
ANASTASIA BRENCICK AND JACK BLACKBURN

#1: https://www.thefocusingway.com/tfw-030-touch-focusing-1/

#2: https://www.thefocusingway.com/tfw-031-touch-and-focusing-2/

Hurst, L. et al., 2008, Tying the thread of bodywork, movement and focusing.

(文責:堀尾)