「何も間に挟まないこと」

このコラムのタイトル「何も間に挟まないこと」は、ジェンドリンの著書『フォーカシング指向心理療法(下)—心理療法の統合のために』第23章クライエントとセラピストの関係の節「相互作用全体に関する諸概念」の冒頭の項の見出しです(p.477、1999、金剛出版)。

『フォーカシング指向心理療法(下)-心理療法の統合のために』書影

これに関連するジェンドリンの文章がネット上に掲載されていると知ったので、シェアしようと思います。

Eugene Gendlin|AWAKIN.ORG
“Keeping Nothing Between”

間に何も挟まない真っ直ぐな眼差しの例として、レストランで隣の席にいた小さな女の子がこちらを向いた時が挙げられています。

読んだ人々のコメントがいくつも寄せられており、その日付から推察するに2016年に掲載されたもののようです。

おしまいの部分だけ引用し、DeepLで訳したものに手を入れて載せようと思います。

If I keep nothing between, you can look into my eyes and find me. You might not look, of course. But if you do, I won’t hide. Then you may see a very insufficient person. But for contact, no special kind of human being is required. This fact makes a thick peacefulness.

Eugene Gendlin ““Keeping Nothing Between”より

=
もし私が間に何も(訳註:例えば知識や判断や自分の気がかりや社交的なお作法など)挟まなければ、あなたは私の目の奥を見て、私を見つけることができます。
もちろん、あなたは見ないかもしれませんけど。
けれど、もしあなたが見るなら、私は隠れません。
そうすれば、あなたはとても不十分な人間を見ることになるでしょう。
でも、出会うために、特別な人間である必要はありません。
このことは、深い安らぎをうみます。
=

ユージン・ジェンドリン、池見陽著/池見陽、村瀬孝雄訳『セラピープロセスの小さな一歩—フォーカシングからの人間理解』(1999、金剛出版)第2章セラピープロセスの小さな一歩の、やはり冒頭の節「1.人間がそこにいる」では次のように書かれています。

「だから私はこれをこんなふうに言います。
フォーカシングであれ、リフレクションであれ、他のものであれ、
二人の間にはさみこんではならないのです。」

ユージン・ジェンドリン「セラピープロセスの小さな一歩」『セラピープロセスの小さな一歩—フォーカシングからの人間理解』(p.31)

この「何も間に挟まないこと」に関連した動画がYouTubeにあります。

THE PERSON IS THERE IN THE FIRST PLACE with Eugene Gendlin

また、近田輝行・日笠摩子編著『フォーカシング・ワークブック』(日本・精神技術研究所、2005)に掲載されている池見陽「そこに人がいる、ということ Presence」(p.16-18)も、おすすめです。

ところで、今日11月21日は世界ハロー・デーだそうです。
駐日トンガ王国大使館 Tonga Embassy Tokyo (TET) さんの下記のツイートで知りました。

自分に対しても何も挟まない眼差しを向け、”JUST SAY HELLO…”(Bebe Simon
(堀尾)