DoingよりBeing:フォーカシング・セッションのリスナーの役割

リスナーの1番大事な役割は…

フォーカシングセッションにおいて、リスナーの大切な役割とは何でしょう?

フォーカシングプロセスを進めること?

フォーカサーの言葉を、間違えずに伝え返すこと?

フォーカシングが行き詰ったときに、手を差し伸べること?

いえいえ。

フォーカシングネットワークでも使用しているテキスト、『フォーカシング・ワークブック』(近田輝行・日笠摩子編著:金子書房)には、リスナーの役割の一番目に「しっかりとそこにいて、フォーカサーを見守っていること」とあります。

実は、リスナーの存在感、プレゼンスこそが、フォーカサーにとって、1番大事なのです。

(フォーカサーとリスナー)と(フェルトセンスとフォーカサー)は入れ子

フォーカサーとリスナーの関係は、フォーカサーと内側の関係と入れ子構造になっているともいえるかもしれません。

フォーカサーは、自分の内側にやさしいまなざしを向けて、安全に自分の感覚(フェルトセンス)を感じますよね。

同じように、リスナーが、まずしっかりとそこにいて、どんな時もフォーカサーをやさしいまなざしで見守っていられたら、フォーカサーは安全安心を感じられます。

リスナーは、そこにしっかりいることで、フォーカシングプロセスに役立っているのです。

リスナーも自分に優しく…

とはいえ、言うは易し行うは難し。

リスナーも、緊張したり、何かやらなくちゃいけない気がしたり、気が散ったり・・・

そんな自分がいたら「そんな感じがあるね」と自分の感じに優しく気づいておきながら、意識をフォーカサーに戻して、しっかりそこにいるようにしましょう。

フォーカシングプロセスは、あくまでフォーカサーのもの。

リスナーは、何かをする(Doing)より、そこに在ること(Being)が大事。

どんなことがあってもそこに居続けてくれる存在は、フォーカサーにとって何よりも心強いことでしょう。

(文章:あべ)

用語解説
フォーカサー:フォーカシングする人
リスナー:誰かがフォーカシングする時の聴き手(リスニングする人)